2018年04月14日

天水桶とグリーンルーバー

春になり、本格的に天水桶の環境を整え、グリーンルーバーを手入れしています。
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天水桶に溜めた雨水は、グリーンルーバーに水やりします。

1.まず仕組みの話から
天水桶の容量は60リットル弱あり、水やり2週間分に相当します。夏だと水やりの頻度を上げるので1週間分です。
気象データを概観すると、だいたい2週間に一回は雨が降るので(夏季はもうすこしよく降るので)、60リットルの大きさが妥当だと踏んでいます。また、双頭の屋外水栓に灌水パイプを繋いでいるので、時間が無い時は水道水で水やりすることもできます。


2.天水桶の構造
コンクリ2次製品の枡の中間部分を3段積んで、底にモルタルを流し込んで底をつくっています。2次製品は安くてシンプルで気に入っていますが、実は、自治体によって形状がビミョーに違います。
ここでは探しに探して、上端・下端の接合部がカギ型になっているものを選びました。そうすると、下段の桝天端に軽くコーキングしてから上のマスを積むことで自重でコーキングが密着し、きちんと止水できるとふんだからです。詳しくは企業秘密ですw
施工者からは塗膜防水を内側に掛けたいといわれましたが、コストも掛けられないので、このような方法で試すことにしました。失敗してもいい状況だと、知恵の出し甲斐もありますね。結果は上々で、全く水漏れしていません。


3.ボウフラ対策の生態系
開放型の天水桶は放っておくとボウフラが湧いてしまうので、メダカを飼うことにしました。薬でボウフラを防ぐことも考えましたが、それを植栽の水やりに使うことに抵抗があり、生態系をつくることを目指します。
天水桶の底に大磯砂を入れると、隙間にバクテリアが潜み、メダカのふんを分解してくれます。それを布袋草などの水草類が吸収し成長して葉陰が維持されます。
水草の光合成によって水中に酸素ができるという文献も目にしましたが、定かでは無かったので、太陽光発電で動く小型の空気ポンプをつけました。これは同じ学芸大学の建築家であるスターパイロッツの三浦さんに教わったからなのですが(三浦さん、ありがとう)、設置後はメダカは元気なので、ホッと一安心です。
ちなみに天水桶が2つあるので、大磯砂の大きさを2通り試しています。
また、黒メダカは全く見えないので、オレンジ色のメダカがオススメです。


天水桶1_180415_2.jpg黒い四角は太陽光パネル。空気を水中に送るポンプを動かす。


天水桶2_180415_2.jpgオレンジのメダカは見付けやすい。




4.天水桶のpH管理
目黒区あたりだと雨水はpH5を切る時もありますが、コンクリ桝でつくった天水桶も、火鉢を転用した2階の水がめも、おそらくその素材ゆえに、酸性雨は弱アルカリ性側に転んでいることがわかりました。これは、メダカには悪くないはずです。
ちなみにpHのテスターは、浄水器のチェック用に売られているのが一番リーズナブルと判明。紙ベースのものは激安ですが、信用ならないようです。


1_180326_pH8.jpg3月26日はpH7〜8。


1_180408_pH9.jpg4月8日はpH9。




5.グリーンルーバーはやや苦戦
植栽の種類は、オオイタビ、カヅラ類、ローズマリー、などなど。木っぽいものも植えています。壁面緑化用の植栽基盤を用いていますが、細長いタイプはあまり例がないし、それゆえに保水力に懸念があるため、いろいろな樹種を試している段階です。
道路側が南にあたりますが、こちらの面はやはり乾きやすく、こまめに水やりはしているものの、植えた当初に手入れが行き届かなかったためか、(おそらく)枯れているのが目立ちます。ただ、春になって、茶色だった茎がおもしろいことにどんどん緑に変わり、新芽すら出てきた株もあります。でもやはり、南面の最上段はなかなか苦戦してます。
裏面にも植栽をしていますが、設計時は陽当たりが悪いとの指摘もありシダ類を検討したこともありましたが、実際やってみると裏面の方がうまく生育しており、春になってあらたに芽吹いて、とくに事務所の前はもしゃもしゃになっていますw

1表D右_180415.jpg表面4段目。黄金カヅラは比較的強い。上段のオオイタビはほぼ全滅。


1表E右_180415.jpg表面3段目のオオイタビはまあまあ元気。写真奧の1株は枯れているが。


1裏E左_180415.jpg裏面のオオイタビは至って元気。新芽もたくさん出ている。




6.グリーンルーバーの構造
グリーンルーバーは固化培土を基盤材として用い、そこに開けたポッド苗用の穴に480株を植えています。固化培土は、鉄骨の柱間に渡したL型金物にボルト固定されています。
灌水パイプは自ら施工しましたが、ホームセンターで売っています。amazonでももちろん入手できます。分岐役物にはいろいろな種類があり、注意が必要です。
ドリップチューブの水が出る部分の間隔が植栽のピッチに比べてやや広いため、今後は水が出るところの部品(滴下製品というそうです)を途中に追加しようと思っています。
保水力を上げるため、また、土がこぼれないようにするため、植栽メーカーのアドバイスを受けて水ごけを植栽部分にあてがっています。ニュージーランド産のものが長尺で、オススメです。


IMG_9181.JPG植栽基盤を設置している様子。


IMG_9693.JPGドリップチューブの端部からも水が出るように滴下部材を追加した。


IMG_9743.JPG乾燥対策のために水ごけを敷き込んだ。




7.中間領域のひとつの実践として
ここでは細かく書きませんが、やってみると、そして、維持管理に携わってみると、事前にいろいろ検討したのでうまく行っていますが、それでも、いろいろ改善点に気がつきます。中間領域をつくりだす方法として、より単純に、より簡素になるように、これからも考えながら改善していこうと思います。実物大のおもちゃということではなく、涼しさや心地よさに繋がるので、僕らも真剣です。
とはいえ、手入れをしていると声を掛けられたり、メダカを覗く人がいたり、会話のいいきっかけにもなっています。

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外観。グリーンルーバーの間にインターホンと郵便ポストが挟まる。

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事務所内観。建物側にもグリーンルーバーを設けている。

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ルーバー表面温度や軒下は、道路や他の建物の外壁に比べて温度が低い。
posted by naka studio at 00:00 | 五本木の集合住宅